バッテリースピーカーで、ここまで音質にこだわったものがあっただろうか!『Olasonic TW-BT55ST』 音質編

音質 ~バッテリースピーカーになっても「らしさ」は健在!

f:id:yorozubox:20150212091948j:plain音質を比べる場合、本来なら、ほかのバッテリースピーカーが比較対象になるのですが、このスピーカーではアクティブスピーカー(電源アダプタ式)と比較するほうが適当です。

というのも、ほとんどのバッテリースピーカーは、モバイル性を重視しているため、本体とスピーカーが一体となった作りで、ステレオスピーカーを搭載はしていても、実際のところステレオ感には乏しく、モノラルスピーカーと大差ないからです。

 

TW-BT55STは、バッテリースピーカーとしてはめずらしく、左右のスピーカーが分離していますので、このことによって得られる臨場感、立体感、迫力などは、比較になりません。音質云々という以前の問題です。

 

立体感

定位の良さ、立体感については、さすがOlasonicの卵型スピーカー!音が見えるようです。
音の広がりを確保するために、スピーカー同士の間隔を広げたり、角度を広めに取ったりしても、ボーカルの位置が曖昧にならないところも素晴らしい。

この点では、多くのアクティブスピーカーをも凌ぎます。

 

情報量

解像度(情報量)については当初、同価格帯のアクティブスピーカーと比べて、特段優れているとは感じられませんでした。

でも、プレーヤー側の音量を最大にして再生すると、解像度が向上するという話を聞いたので、試してみることに。

アナログならともかく、デジタルでそんなわけないわぁ~。デジタルでそんな………ホンマやあ!

たしかに音がクリアになり、輪郭がはっきりとした音になりました\(^o^)/
奥行き方向の立体感もなんとなく感じられるようになりましたし、劇的とまではいかないものの、明らかに音質が向上しています。
ピュアオーディオの域にはまだ届きませんが、もうちょっと…あとちょっとで到達できそう!という可能性を感じます。

1万円ちょっとのスピーカーでここまで鳴らせれば十分というレベルです。

 

ちなみに、音質について気になるのは、Bluetoothという規格自体の音質がどうなのかということですが、メーカーに問い合わせてみたところ、やはり音質についてはLINE入力などの有線による接続のほうが良いそうです。
Bluetoothは無線通信であるため、電波状況や同じ周波数帯域の機器による干渉を受ける可能性がありますが、有線の場合は、その影響を受けないため、一般的にはBluetoothより音質が良くなるのだとか。

 

帯域

卵型スピーカーお得意の低音域は健在。さすがにこのサイズですので重低音までは出せませんが、サイズからは想像できないくらいしっかりとした、存在感のある低音がでます。ただ、以前の機種と比較すると…(これは後述します)。

帯域バランスは、やや重心が高い(中音域寄りな)印象です。聞き疲れするほどではありませんが、もう少し重心が低いほうがリラックスして聞けるかも?

私はおもにSONYウォークマンで再生していますが、これには『ClearAudio』という機能があります。

これを「ON」にすると、この手の機能にしてはめずらしく情報量が向上するので、たいていONにして使っているのですが、このスピーカーでは、曲によっては中高域がきつくなったり、やや耳障りに感じる場面もあります。
もっとも、Bluetooth対応のスピーカーですから、スマホタブレットなどで使用することが多いと思いますので、(スマホ等の)イコライザーで調節すれば、好みの音に近づけることができます。

全体的にはバランス良くまとまっているのですが、もう少し高音域が伸びれば、更に心地よく、音場の広がりも感じられるのではないかな~と感じました。

 

音色

そつがない。そっけない。色つけがない。良くも悪くも、そんな感じのキャラクターです。

音楽を心地よく楽しむには、もうちょっと音に艶があったりするといいなぁ、とも思うのですが、それをこの価格帯のスピーカーに期待するのは酷ですよね…さすがに。

ただ、そんな期待をしてしまいたくなるくらいポテンシャルが高いんですよ、このスピーカー。

 

そのほか

短所(?)としては、音源の善し悪しに左右されます。
それだけ再現性が高いということですが、MP3音源などでは、粗がわかってしまうことも。
無圧縮のCD音源とハイレゾ音源を比べても、違いがわかります。無圧縮とMP3ほどの差ではありませんが。


音量はかなり上げることができます。音量を上げても音割れすることがありませんので、ニアフィールド用のスピーカーとしてだけでなく、ブックシェルフスピーカーのような使い方もやろうと思えばできてしまいます。


Bluetooth対応バッテリースピーカーとして考えると素晴らしい音質なんですが、同シリーズのドックスピーカーと比べてしまうと、見劣りする部分があるのも否めないところ…。
例えば、私が以前使用していたドックスピーカー(TW-D7WM)では、これよりも更に情報量が高く、奥行き方向にも広がりが感じられました。

そして、なによりの違いは低音!

ドックスピーカーでは、あのサイズにして、テーブルをズンズンと震わすどころか、床まで響くような迫力のある低音で、「なにこれ、スーパーウーファー!?」と笑ってしまうくらいの上質な低音が魅力的だったんですが、TW-BT55STでは良くも悪くも、まとまりのある、バランスの良い低音になってしまいました。

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これは、スピーカー自体の大きさに加え、低音を増強するパッシブラジエーターの大きさが異なることが理由だそうです(背面のスリットの向こうに覗いているのがパッシブラジエーターです)。
例えば、薄型テレビ用スピーカー(TW-D7OPT)ではパッシブラジエーターの直径が60mmなのに対し、TW-BT55STスピーカーは直径53mm なのだそうです。
わずか7mmの差ですが、ここまで違うんですねぇ。

個人的にはあの、心躍るような低音が大好きでした…(´。`)

ピュアオーディオならやり過ぎかもしれませんが、この価格帯であればあれくらいの遊び心はありだと思うんです。
でも。旧機種で低音過剰だと感じていた人は、「バランスがよくなって良かった」と感じるのかな。

 

まとめ ~優等生なのは悪くないけど、もうちょっと遊んでもいいかも。

普段使いのスピーカーとしては、かなり完成度が高いと思います。
でも、Olasonicというブランドから期待する製品としては少々凡庸…と感じてしまったのも事実。尖ったところがなく、優等生的なんですよね。
定位や立体感の優秀さはOlasonicなので当然として、個人的にはそれに加えて、音場の奥行きまでもバッチリ再現する情報量とか、ド迫力の低音!とか、そういった点にも期待してました。


とはいえ、Bluetooth対応のバッテリースピーカーとして、この価格でこの音質、更に左右セパレートできちんとステレオで聞けるものは、私が知る限りTW-BT55STのほかにはないです。

だから、Bluetooth対応のバッテリースピーカーで音質を重視する方には、文句なくお薦めします。

 

最後に。メーカーさんにお勧めのセッティング方法を聞いてみたので、ご紹介します。

「左右スピーカーとリスニング位置が正三角形とするのが良いとされていますが、
実際にユーザーの耳で音楽を聴きながら、スピーカーを少しずつ広げてみて、
中心の音像がぼやけてしまわない位置(実体感がある)、またユーザーが一番聴き心地がよい
と思った位置に設置するほうが良いと思います。」

とのこと!ぜひ、ご参考に(^_^)/