4BA(バランスドアーマチュア)+1DD(ダイナミックドライバ)を搭載したイヤホン「musicmaker SHOCKWAVE III」

以前購入した6BAは、情報量がずば抜けていて素晴らしいイヤホンだったのですが、低域のパワフルさにやや欠けるところが惜しく。「これでDD(ダイナミックドライバ)を搭載していたらなぁ。」と思っていました。

そんなとき、ネットで絶賛されているのをたまたま目にし、興味を持ったのがこれ。musicmaker SHOCKWAVE III」です。

 

BAの数では6BAに劣るとは言え、それでも4つも搭載していれば十分な解像度が期待できますし、DDを搭載していることでバランスも良いのではないかと考えたのです。帯域が5~40000Hzと、6BAと比べてもかなり広いところもポイントでした。

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外観はシンプルで、質実剛健といった感じです(写真のイヤーチップは付属のものとは異なります)。
質感からステンレスかなと思いましたが、チタン亜鉛合金なのだそう。
たしかに、見た目の印象よりもだいぶ軽量にできています。

装着感については、いちいちシュアがけにしなくても、このまま耳にねじ込めるので面倒がないのですが、それだと少し外れやすいのが残念。
羽のような、装着状態を補助するパーツが付いているものの、これもないよりは幾分ましな程度です。
シュアがけにすれば外れにくくはなるのですが、ケーブルが出ている角度のせいなのか、なかなかしっくりくる位置が決まらないのが難点です。

 

音質は、最初に聞いたとき、正直「あれ?」と思いました。
音場が狭く、高域は伸びきらない。低音は膨らむ。中高域も、キレはいいがサ行がやたらと耳に刺さる。音も団子になるし。
バランスの悪いイヤホンだなぁ。これなら2BA+1DDのDQSM D2などのほうがまだいいなぁ…という印象でした。

しかし、良いイヤホンはエージングに時間が掛かる(場合が多い)ので、じっくりじっくり…100~150時間ほどエージングをしてみました。


途中、何度か試聴するなかで予感していましたが、このイヤホン、実力はかなりのものです。
ただ、十分にエージングをしないとその実力が発揮できないらしい。

150時間近いエージングをしたあとの音質は、当初の印象とはまったく違ったものになっていました。
バラバラだった音にはまとまりが出てきましたし、膨らんでいた低音もタイトになり、おまけにかなり下まで伸びます。
D2のほうがまだいいのでは…と感じる一番の原因だった解像度の低さも、D2を明らかに凌ぐまでになりました。
楽器やボーカルの定位、存在感、リアルさというものが、かなりのレベルで表現できています。
さすがに6BAほどではありませんが、2BAのイヤホンよりは明らかに良い、というレベルですので、4BAというスペックに見合った音質になっていると思います。

音のキツさもかなり改善されており、曲によっては多少耳に障ることもあるものの、ほとんど気にならないレベルになりました。
ケーブルを交換してみた際にキツさが改善されたこともあったので、このあたりはもしかするとケーブルにも原因があるのかもしれません。

 

全体の印象としては、欠点らしい欠点もありませんし「真面目な音」と感じます。
帯域バランスもフラットな傾向で、ボーカルなども前に出すぎず、かといって引っ込みすぎず(このあたりは好みがあると思います)。
DDによって補強された低音も、存在感はありますが主張し過ぎることはなく、全体のバランスを保っています。


贅沢を言えば、優等生過ぎて若干退屈にも感じられるので、もう少し尖った部分があってもいいんじゃないの、とは思いますが、ジャンルを選ばないという意味においては、やはり優秀だと思います。

音場は、ヘッドホンに例えると密閉式に近い印象です。
当初のような狭さは感じなくなったものの、かといって特別広いわけでもないので、(楽器などの存在感は残しつつ)音場がもっと広がれば、更にぐっと魅力的なイヤホンになるのになぁと思います。イヤホンに音場の広さを求めるのは酷かもしれませんが…。

ユニットが多いためか、音量は2BAのイヤホンなどに比べ低めになります。
ユニット数が多いので、プレーヤー側にも駆動力が要求されるのでしょう。
ヘッドホンアンプを使って駆動力を補うと、音量だけでなく、音質にも改善が見られるものと思います。

 

musicmaker SHOCKWAVE III 1DD+4BA MMCXバージョン HIFI シルバー

musicmaker SHOCKWAVE III 1DD+4BA MMCXバージョン HIFI シルバー